人の命を奪っても帰ってきてと 願いたくはない 学級通信『桜』第6号(地球学校 あおい学級)★

もし 自分が戦地に行ったら


愛する我が子の元に帰るため


私はきっと 人の命を 殺めるでしょう




愛する家族の元へ戻るため


武器を手にするでしょう





夫や我が子、 そして教え子のあなたたちが


戦地に行ったら



どんなことをしても


人の命を殺めても


罪なき命を奪っても


それでも 私の元へ 帰ってきてと


生きながらえて帰ってきてと



願ってしまうでしょう




命を奪った相手にも 


かけがえのない家族が 


大切な存在がいることは


よくわかっている




それでも


それでも 


血の涙を流しながら


願うでしょう



どれだけの命を 殺めてでも


生きて帰ってきてと





あまたの死体をみて


それがあなたの顔じゃないとわかるたびに


目の前の命亡き亡骸への慰霊よりも


あなたがまだ生きている可能性に ホッとするでしょう




目の前に横たわる 幼子の遺体の顔を見て


ああ、我が子じゃなくてよかったと


心底安堵するでしょう




ただ 我が子が


あなたが生きていてくれさえすればと


心引き裂かれながらも願うことでしょう




自分が どんなにか 


むごたらしい願いをしているのかを


自覚しながら





だから

教師として 


母として 


一人の人間として 思うのです



戦争だけは絶対に起こしてはならぬと・・・・




<終戦の日に>

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