このシリーズは次の記事のような思いつきで始まっております。
自分の感受性くらい 茨木のり子作
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
これまで担任してきたクラスの人たちが
誰かに流されたり
テレビや雑誌の内容に流されたり
雰囲気に流されたり
うまくいかないことは全て
親のせい 友達のせい
誰かのせい 何かのせい
そうやって
言い始めた時に伝えてきた
この詩を 今一度 あなたたちに贈ろう
誰が選ぶのだ
誰が決めるのだ
誰が守るのだ
あなたの人生を
あなたの幸せを
あなたの未来を
あなたの心を
あなた自身を
今、この時を生きているのは誰だ
今、この感覚を味わっているのは誰だ
今、これを読んでいるのは誰だ
あなたの未来を生きるのは 誰だ
全て あなたでしょう
たとえ
誰も見ていなくても
誰も聞いていなくても
誰も知らなくても
神さえ気づかなくても
あなたのココロは
あなたが一番わかっているはずだ
自分が自分に嘘をつけば
誰よりも苦しむのも自分なのだ
自分の感受性くらい
自分で育て
自分で守れ
ばかものよ
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